48手の性の楽しみ

日本古来からある、といっても江戸時代からと言われていますが、セックスの体位のバリエーションを48種類を説明する「48手」があります。さらにその表裏があって、実際には96種類を紹介しています。
48手とは本来は、決まり手を示す相撲用語で、たまたま48種あるというよりは縁起の良い、多数あるというくらいの意味で、相撲の決まり手も、それ以上の数ありますから、なぜ48という数字に根拠はないようです。
挿絵をもって、バリエーションをひとつひとつ説明する、絵付のブックカルテのようなものですから。編集上の都合で48ページでまとめてある、くらいの意味です。

日本の伝統的な性行為概念で、必ずしも性交渉の男女の姿勢とは限りませんから、体位というよりは、性的な行為を示すものも加わっています。
たとえば「岩清水」はクリニングスのこと、女性の愛液があふれる様子を岩から染み出る清水に例える文学的表現です。ちなみにフェラチオは「雁が首」となります。
基本的な体位として、微妙な違いもありますが、正常位は「揚羽本手」、後背位は「逆手からみ」が近いでしょうか。

それは江戸時代の艶本の粋な文学的な表現でもあるし、権力の弾圧・検閲から逃れるためにオブラートを包んだ隠れた隠微な表現としてあったのでしょう。
近代化による自由に、セックスを社会的な表現にタブー部分が少なくなり、性を楽しむ意識が普通になって、セックスのバリエーションを語ることが日本の社会にオープンなものになったのは戦後のことです。
日本の性医学評論のパイオニアの謝国権の「性生活の知恵」の発刊は1960年で夫婦の営みとしての体位含めた性の工夫、バリエーションを説いて、当時の日本社会に画期的な反響があり、ベストセラーになりました。
子孫を残すための、生殖のためのセックスではなくてセックス自体の快楽を楽しむため、マンネリを防ぐためのバリエーションを一般庶民に説いた点が当時は画期的だったといえます。

現代は、風俗産業の多様化もあって、セックスの楽しみ方のバリエーションは、さらに刺激的に進化も拡大もしていますが、少子化や、離婚件数の増加、老齢化社会等の社会変化もあって、セックスの快楽も見直されて、たとえば挿入・射精を控えて、前戯を長くすることで、老齢者にも体力消費を抑えてのセックスを楽しむ「スローセックス」という提唱もあります。
江戸時代の浮世絵、艶聞にある優雅な日本情緒を持った侘び寂びのあるセックス表現も、現代的に見直される必然性はあるといえます。

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